シャングリラの鳥
」のレビュー

シャングリラの鳥

座裏屋蘭丸

美しく独特、そして少しビターな大人の童話

ネタバレ
2023年7月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ とにかく作画が美しい。そしてこの作者様は、自分の描く画の魅力を最大限に活かせる物語を創る能力にも長けている。この作者様の作品の舞台はほとんどが外国であり、エスプリのきいた会話や外国人特有のボディランゲージ等が不自然ではなく、さらりと描けているのは地味に凄いと思う。本作品もそんな独特の魅力が存分に発揮された作品です。美しい男娼達がおおらかに性を饗する、南欧のリゾート地を彷彿とさせるような楽園。男娼の一人と、試情夫と呼ばれる男娼の準備をする男が、共にのっぴきならない事情を抱えながら、許されない恋にのめり込んでいく…。浮世離れした世界観の中でも、現実世界のしがらみや苦しみがやるせないビターな「大人の」童話。どことなくサガンの小説やフランス映画のような余韻が残る作品です。
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