視淫に溺れる【イラスト入り】
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視淫に溺れる【イラスト入り】

沙野風結子/笠井あゆみ

篠束のキャラ設定はよかった

ネタバレ
2023年7月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 割と単純明快、素直なところのある検事の西賀(攻め)と、視線で人の心を操ることのできる性に奔放な弁護士の篠束(受け)。私はこの特殊能力を持っててそれを仕事でも使いながら、使っていること自体に迷いも感じつつ、そんでやることはやりまくってる篠束というキャラにはすごくひかれた。弁護士というおかたい職業なのもよいし、西賀を攻略しようと画策して逆に攻略されちゃう展開も好み。

ただ、沙野先生の「獣はかくして」のときも感じたのだが、本作も割と唐突な感じでいつの間にか攻めが受けにどっぷりはまってて、あれ、どこでそうなったんだ?と思わないこともなかった。私はなぜ好きになったのかとか、いつ好きになったのかとか、読者を納得させるために無理やりこじつけたみたいな理由を書かれるよりは、何の説明もない方がいいと思っている(だって恋愛感情なんてそもそも説明のつかないものだと思っているから)のだが、それにしたって0だったのが急に1000ぐらいになったように感じると、ちょっとおや、いつそうなった?な気分にはなる。

西賀は過去に自分自身の身に起きた事件について記憶を一部なくしていて、その事件の真相解明も本作でのポイントだとは思うのだが、それの解明のされ方がちょっと物足りなくて、最後にひと盛り上がりさせるために強引に付け足されたような感じもした。
この作品の全体的なノリというか、雰囲気みたいなものは好きなのだが、なんかこうもうちょっと、どうにかなったんじゃないかというか、うまく言えないんだけどなんかおしい。景守と優のエピソードとか、時澄のことも中途半端に感じた。
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