シックス ハーフ
」のレビュー

シックス ハーフ

池谷理香子

過程を描きすぎて着地点が…

ネタバレ
2023年7月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 記憶喪失モノなので、記憶喪失となった主人公詩織の視点で少しずつ謎が解けていくような展開が読者としてはとても面白かったです。事故で記憶を失ってしまい何もわからない詩織が、少しずつ自分と向き合っていく強さがこの作品の中で一番好きでした。
前情報なしで読んでいたので、まさか本当に(血縁関係はないものの)兄であるあーちゃんこと明夫とくっつくのにはびっくりしました。2人兄妹ではなく3人兄妹、しかも父は他界しているうえに母は問題のある人物で色々あって最後には別居。末の妹まーちゃんからしたら兄姉(明夫と詩織)は家族であることを思うと、うーん……。
あと個人的には、メインでくっつく2人以外での男女関係のシーンを目の当たりにするが苦手なので、それが何組も出てきたのには読んでてちょっとキツかったです。具体的にいうと、開とチカ、明夫と瑞希、開と詩織の3組。開とチカは示唆されているだけですがあとの2組はメインキャラな上に丁寧に描写されているのが返って生々しいし、明夫は瑞希のことをかなり好きにも見えたので、最後に明夫と詩織でくっつけるならその尺で2人の描写をもっと掘り下げてほしかったなぁというのが率直な感想です。
詩織の成長を記憶喪失を通して丁寧に描かれていたのはとてもよかったです。
ただ、ラストを読み返した上ではやはり瑞希のくだりがしんどいし妹のまーちゃんの理解力がご都合主義に感じられたので総合評価としては星は少なめです。
ちなみに、同作者の『ハコイリのムスメ』という作品の最終巻にシックスハーフの番外編(開メインの話)が収録されていて、本編のその後が見られます。
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