セキュリティ・ブランケット
」のレビュー

セキュリティ・ブランケット

凪良ゆう/ミドリノエバ

先生の代表作と言える作品だと思います

ネタバレ
2023年7月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ とても素敵な内容でした。凪良先生の作品デビューは『美しい彼』で、不動の一番という感じです。その後何作か読みましたけど、軽いものから重いものまで多種多様で、ファンタジーまであるので辛い話が苦手な私は作品を選びがちです。そういう観点から言うと辛い・苦しい描写は過ぎる事はなくて、大人組と子供組それぞれの恋心を深く丁寧に掘り下げて、オムニバス形式で展開することで、それぞれのその時々の心理がよく分かるのが良かったです。
主人公は宮というスタンスで進んでいきますが、実際のところ叔父の鼎の方がメインな気がしないでもないです。というのも、子供組の宮はどうしたって人生経験が浅くて(苦労はしてますが)ものの考え方も幼くなりがちです。その点大人組の鼎は人生経験も豊富で、繊細な性格もあって心の襞も多く考え方も複雑になりがちで…極めつけが、登場人物全てに絡んでくる重要ポジション、というか鼎を基点に皆が線で繋がっている印象です。
「好きあっていても結ばれない」二人って、案外多い気がします。BLの場合、結婚というゴールがないのでカップル成立が結婚と同等の意味があって、だとするなら結婚と同じで「タイミング」ってあると思います。好きあっていても…のパターンは、このタイミングを逃したか合わなかったんでしょうね。あと好きな気持ちって生もので、賞味期限ってあると思います。色々な事があっての過去、そして今なんだと。
あまりにも混み合った何角関係かも分からないキャラたちが、様々な苦悩を乗り越えて成長、己の気持ちにカタをつける姿に胸を打たれました。先生の代表作は?と聞かれたら『美しい彼』の次に挙げたい作品です。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!