陽炎がゆれている
」のレビュー

陽炎がゆれている

金田力金男

何も語らない尊さ

ネタバレ
2023年7月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 金田力先生、「鼓動の秘密」から2作目。
新刊と知って読んでみました。

今作も本当に何も語ってられないなと。だからか読む側の感じ方は、それぞれなのかなと思いました。
ある男子達の学生生活と感じるかもしれないし、青春物語と感じるかもしれない。前作もそうでしたが、私にとってはブロマンス的な尊さでした。

田舎に転入してきた、事故によって足に障害が残った元陸上選手の熱海。走る事は諦め、ハンディキャップ者として学生生活を送る中、美術室からこっそり陸上部の公英の走る姿を描いている…。そこから始まる熱海と公英の物語。

公英の走る姿を何故熱海は描こうと思ったんだろう?
そもそも何故彼は田舎に越してきたのだろう?
その動機は何だったのだろう?
…とそんな風に思ったら、急に訳の分からない尊さにドキドキしてきて、堪らずスマホを置きました(発作😩)
彼のどんな想いがその絵と重なっているんだろうと思ったら、思春期という男子から青年への転換期、生きる事の苦しさ、そしてその時期特有の繊細さを感じて萌えでした。必死にそこからもがく熱海の想いは、走る公英を描く事で自身の想いや叶わなかった夢を重ねていたのかな?と(なのにその想いが増すのも良かった。)

彼らの出会いは中学時代の陸上大会と。公英に余裕で勝った相手は熱海だった…という所から公英に会う為にその高校に越して来たのかなと思うと…😩

最後のコマ。熱海にもたれ眠る公英の姿(うう…泣く😩 )

熱海がどんな想いでまた走り出す事が出来たのか。
雨の中の2人の描写も美しく(深い…)
あぁ、こんな男同士でしか持てない関係性に私は感動して、BLという沼に入って行ったんだなと。そんな懐かしい物語でした(ヘルプマークの後書きも良かったです。)
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