このレビューはネタバレを含みます▼
超セレブおぼっちゃまの飛鳥馬宝が公立小学校の3年生に編入してきます。早く大人になる為に公立小学校を選んだと言う宝には専属執事の芹澤待雪が仕えています。1年前、新しい執事としてやって来た待雪は万事に厳しく口うるさく、宝は待雪を煙たく思っていたのですが、人の気持ちを考える優しい大人になって欲しいとの待雪の想いを受け止めた宝は、待雪に心ときめくようになったのでした。生まれて初めてのその感情を調べた宝は、それを「抱きたい」という気持ちだと知ります。けれども待雪に「抱きたい」と伝えても「そういうことを言うのは立派な大人になってからです」と剣もほろろにあしらわれるのでした。そこから宝が一刻も早く大人になろうと立ち向かう様々な試練がコミカルに描かれます。「抱く」という本来の意味がわからないまま大人を目指して、焦ったり落ち込んだりしつつも一途に頑張る宝の姿は、笑いの中にもほろりとさせられます。執事の待雪も、ひたむきに宝に仕える理想の歳上美人受けです。220頁超のラストでついに本懐を遂げるまで楽しく読めました。