ハッピーマジカルNIRVANA
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ハッピーマジカルNIRVANA

絵津鼓

長い片想いが成就するちょっと不思議なお話

ネタバレ
2023年8月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 祖父母がしていた民宿を改装して筧大悟と成文の兄弟はシェアハウスを始めます。長年色々な国の旅人を泊めてきた家には沢山の不思議なお土産があり、そのうちの一つ、アカシックレコードにアクセスできる本が出てきます。高校時代から14年間、ずっと大悟に片想いしている尾池澄春はその本に自分が孤独死すると書かれているのを見てしまいます。澄春のショックは、やっぱり大悟とは一緒にいられないんだと知ったからですが、大悟は「ならシェアハウスは俺たちの老人ホームにすればいい」と澄春を誘ってくれるのでした。ニルヴァーナと名付けられたシェアハウスには、澄春の同僚でゲイ仲間の松嶋泰生、アセクシャルの新村十真が加わります。なりたいものに変身できるお茶や透視メガネなど様々な不思議グッズを取り混ぜて澄春の長い長い片想いが次第に変化してゆきます。シェアハウスののんびりした日々がホワホワと心地良く、泰生と十真も鈍い大悟と拗らせる一方の澄春をハラハラしながらも静かに見守ります。エロ無しですが、270頁超のストーリーは十分に読み応えがあり、大悟と澄春の表情にその時々の感情の揺らぎが細やかに描き分けられていて素晴らしいです。
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