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日乃チハヤ

自分がない人とは

ネタバレ
2023年8月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 面白いです設定が。幼少期の経験から愛情不足のため本心を出さない設定の話は多いですが、それを小説というものに投影して進んでいくのが面白いというか分かりやすかったです。
攻めの小説家が軽いというかふわ〜としたキャラなんですが、たまにドラマなどでもこういう思考の意図が分からないキャラや話、現実でも「この人は何がしたいの?」と思う人がいます。
自分もそういう人間が何を考えているか興味があり、随分長い間観察してみましたが、ただの想像力の欠如か、その場の感情に捉われやすいだけで、本当に意味がないことが多いように思いました。作中の受けの父親も同じように「心がない」と言っています。
ただこれ漫画なので、そんな攻めの脆さというか弱さというか…それがうまく小説に味を付け、それに魅了された受けの担当の丸富が真っ直ぐな愛で包み込むという美談になってます。
攻めの赤瀬川は丸富の中に光を見出すんですが、…嫌いだなこういう他者に自分の価値を依存するメンタル弱い人間…。
ただこういう揺らぐ心を持ってる人の中に芸術的センスが高い人が多いのは事実かと思います。
受けの丸富はピュアですが、これぐらい真剣に生きれるほうが人生は楽しい。自己肯定感が高いってピュアと比例する気がします。
思うところがいっぱいあり過ぎて色々と書いてしまいましたが、タイトルは小粋だし内容もコミカルで読みやすいです。
ちなみに作者さまは伏線回収する計算高いタイプの作家さんかと思います。だから読み終わりはすっきり!
ひとつ残念なことは表紙が単話の時の土下座のが良かったな〜。
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