悪い子供【合冊版】
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悪い子供【合冊版】

蓮冥

感性に磨きをかけたい

ネタバレ
2023年8月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 低評価の作品の中には、偶に感性を刺激される作品があります。評価だけで判断され0話切りされてしまい、埋もれてしまってはもったいないです。

試し読みだけでもとても真面目に作品に取り組まれているのがわかると思います。
1ページ目でキレイな若い子が何か事件に巻き込まれたと判ります。
3ページ目で主人公の境遇と性格がわかります。(しかも伏線?と言うか今後の展開に重要な情報)
4ページ目で彼が多分ゲイで誰かに付き纏われ煩わしく思っていること。
5ページ目は出会いと一目惚れ。
6ページはきな臭いことが起こりそう!…と、ここまでで自然とこれから始まる物語の基盤が読み取れる作りになっています。
しかも2ページ目のタイトルの入れ方と絵よ…!並々ならぬお話が待っているのでは?と期待が膨らみました。

本編は、確かに大きな熱量は伝わりにくい作風で描かれていると思いました。
しかし、だからこそ複雑な機微に気づくことができました。作者さまが絵で伝えたいと描かれた情報を受け取りやすくなっていると思いました。
キャラクターは、良い人と悪い人と病んだ人が完全に分けられており敢えて複雑にはされていません。
なので読み手としては主たる2人の心情に集中できました。
「好き」の違いにも気づけます。ハッキリと説明はされていないのに自然と気づける。その瞬間に「エモい!」と感動してしまいました。
いつ好きになったんだ?との野暮な暴言はとことん似合わない作品なんですね。

ただ、真面目に描き過ぎた感も否めません。
盛り上げるべきところ、盛り上がって欲しいところまでもが同じトーンで描かれていたのは惜しいと感じました。

あと、頭を掻くのがクセな主人公なのですが、、、見え方受け取り方は人それぞれなんだなぁと。
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