Loveless SEX Bear~愛のない獣~【単行本版】
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Loveless SEX Bear~愛のない獣~【単行本版】

霧嶋珠生

運命ってなんだろうね

ネタバレ
2023年8月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ オメガバースって、運命の番が居るじゃないですか。例え番が居ても一目見ただけで抗えないってヤツ。運命に対する本能は逆らえないことが多いけど、逆らっても死にはしないじゃないですか。
でもこのシリーズはさ…運命って人によっては酷だよなと、本当に思うわけですよ。特にこの、久士と玄蔵の話は。

人間と獣人類がいる世界で、獣人類は獣の姿で産まれ成長と共に人型になるが歳を取るとまた獣の姿になる。短命ながらも獣の身体能力に人間の知能を併せ持つ希少種なため、国の施設に管理されていたり、許可を得た資産家たちのペットとして飼われている。だが、その実、自由はない。加えて獣人類の特徴として番に出会うことでオスメス人間獣人関係なく妊娠することが可能だが、番以外の相手と関係を持つ(粘膜接触)と言葉も知能もなくなり、凶暴な獣「バケモノ」になってしまうという特徴があった。


人間の久士と熊型の玄蔵は、昔から想い合っているのに番ではないという理由で、玄蔵を守るために久士は玄蔵のを触る時はゴム手袋にゴムを着けてようやく…という感じ。キスは愚か挿入すら危うく。実際に想い合い、ゴムを装着しても玄蔵は徐々に熊に変化していったんですよね。途中、番に出会ってしまった玄蔵は番うことしか考えられなくなり、何よりも大好きな久士を忘れかけたりと……本当に獣人ばかりが辛い目に合う世界なんですよね。
単話、合冊本と見ましたが…最終回、2人はお互いを選んだけど、これからどうなってしまうのかって、幸せなのに悲しい未来しか見えなかったんですわ。獣になっていく玄蔵を久士は最終的にはどうするのかわからなくて。食べられるのか、撃つのか、はたまた2人で…なのか。どんな結末を迎えたのか、気になってたんだけど………そうか、最期はそうだったのか…と描き下ろしを見てジワリと目頭が熱くなりました。

獣人のオメガバースに似ている部分は多少あれど、世界が全く違うので……最新シリーズは1作目2作目(今作)とはまた違って滅茶苦茶明るいハッピーな話なんですが、話の重さは久士と玄蔵がダントツです。

悲しいのに悲しくない。悲しくないのに悲しい。運命とは?番とは?本能や運命に逆らった2人の生きる姿を是非ご覧ください。そして、シリーズも…よければ見てね。
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