金緑の神子と神殺しの王
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金緑の神子と神殺しの王

六青みつみ/カゼキショウ

秋&レンしか勝たん…とまでは思わない人に

ネタバレ
2023年8月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読者さんだけでなく先生自らも(ファンレターから人気キャラが分かるからでしょう)ハルカの低評価に言及されていますが、私はこちらも好きです。ハルカはアホの子と言うより、ただアホを演じているだけだと思いました。そりゃあ知識や知恵は少し(んー大分?)足りないかもしれませんが、辛さを押し隠して明るく振る舞うのは生きる術だったのだと思います。「空元気だって元気のうち」です。だったら無理に明るく振る舞うのだって、落ち込んだ状態から浮上するには必要なスキルじゃないかなと。
ハルカと秋人、それぞれの視点からの物語を読んで強く思うのは、結局「隣の芝生は青い」ってことだねという事。秋人は実際に何度も命の危機に晒されて、ハルカの境遇を羨んでしまう気持ち…秋人・レンドルフ編の時は私も秋人に寄り添う気持ちでいっぱいでした。でもハルカ編を読んだら少し気持ちが変わりました。ハルカの受けたレイ◯まがいの仕打ちは、人によっては死を意味する場合もあると思うんです。「魂の殺人」とも言われますしね。精神を病む人、結果的に死を選ぶ人もいるかもしれない。見方によってはハルカの方が辛いとも言えなくもない。それに結局秋人はハルカの実状は知らないままだったようですし、ハルカも言わないと思います。私は、ハルカの方が実は強いのかもと思ったりしました。
秋人編、レンドルフ編、ハルカ・ルシアス編と視点を変えただけで軸のストーリーは一緒ですが、重複する場面や会話は最小限で、三作ともそれぞれに別物のように楽しめます。シリーズものが好きな人、秋人・レンドルフしか勝たん…とまでは思わない人にオススメです。
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