呪って呪ってそれから愛して【コミックス版】
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呪って呪ってそれから愛して【コミックス版】

いとだ旬太

呪われている二人

ネタバレ
2023年9月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 200ページ。
それぞれ親に呪われた子供二人の話。
どちらの心理もわからなくはない(と思う)のですが、フィクションの物語性としては少し弱かった気がします。親に「呪われている」という受身部分は描かれていて、それに流されている感じが強く、タイトルにある「呪って」という能動性や怒りの印象はあまり無かったように思います。授業内容(元ネタがあるか不明)と重ねるなどの演出面の工夫は良く、もう一歩の心理面の掘り下げがあったら良かったかもしれないですし、単純に私の感覚とピタッとこなかっただけかもしれません。
二人の間でウロついている教師(主人公の母親の後輩)が、個人的には邪魔でした。この人が居ればストーリーが進みやすいのはわかりますが、この人が居るせいで二人の正面からの対峙の純度が下がってしまうと言うか……。
しかし、親ガチャに外れるというのはおそろしいもので。二人が親にかけられた呪いは一生続くし、「まっとうになりたい」と願ってまっとうになるほど、自分がまっとうじゃなかったことに絶望するという。二人の前途がせめて穏やかでありますように。
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