このレビューはネタバレを含みます▼
村上のことが好きだとわかってしまってからは、切ない気持ちを抱えていた宇野。そんな片想いから数年後に変わり果てた姿の村上に再会。嫌いになりたいからと世話をしようとする宇野…。なかなかの拗れっぷりですね。それくらい強かった思いを抱えて生きてきたんですね。片想いならではの切なさや勝手な思い込みなど、余すところなく悶々と思い続ける宇野を村上は神様みたいな人間だと言うんですよ。残酷な人です。卒業してから思い出しもしなかったってことは明白なのに宇野に甘える。元人気者ならではの尊大さと鈍感力。宇野の気持ちを知って、得心した村上の行動に驚いた!生存本能がそうさせるのかな…?などと考えてしまいました。そうでないことを祈りましたが、後半のストーリーは村上サイドストーリー。村上の身勝手さとか狡さがよーく見える。宇野も狡さは持ってるけれど、かわいいもんです。元カノと再会したら急に恋情を思い出して宇野の事どうでも良くなる…。最悪だ。もう、元には戻れないのにさぁ。往生際が悪い。宇野は君は酷いと何度も言っていた意味がわかってない人だから、当然の帰結なんでしょうが、こんなクソみたいな男は捨ててやれ!と言いたくなった。甘えが強くて自己愛が強い。あまり俯瞰で見られないタイプの男。仕事現場の出来事で、自分が思っていたことが他者から否定されて、覆せない自分の不安を宇野に慰めてもらおうとするダメな大人だけれど、宇野は結局許してしまうのですね。いいです。はっきりと、村上が自分の気持ちに気づくのですから!宇野をメタメタに傷つけたのだと自覚したのだからこれからは変わってくれるでしょう。本当に読み応えがある作品。木原作品ですね!それぞれのエゴが描かれていて、愛の身勝手さと許し。