このレビューはネタバレを含みます▼
数年か十数年か前に手放してしまった大島弓子の漫画を今どうしても読み返したくなって電子で買いなおしている。この短編集収録の「山羊の羊の駱駝の」、初出は『ASUKA』1988年1月号。壊れた心を抱えたまま成長した少女の行動が、周囲からは奇異な目で見られ理解されず、彼女は次第に暴走する。感情を殺して生きることに慣れてしまって泣くことさえできない。事件になれば周囲は口をそろえて言うだろう、家庭は普通、普通って何?学校ではいたって真面目、真面目って何? 救いはほぼない、かなり重い話。雪の降る場面が静かで悲しい。