棺にさよならの花束を
」のレビュー

棺にさよならの花束を

rosca

スゴイ…!コレ1000字でどう書けと!?

ネタバレ
2023年9月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1番最初にスゴイ!と思ったのは、
1話12P「おこころによりそうー」の否定的解釈。
この言葉は、サービスを提供する側が認めた範囲内のみでしか発動しない。客側の要望が少しでもはみ出た場合は対象外である。当たり前の事だが無意識に遠慮し忖度している客側の弱さを気づかせ、売り手側の利益を守る為とは言え尊大な印象を示す。==
作品の導入部をズバッと表現し、後々の久永の行動まで示唆する見事なセリフだと思う。久永の職場がホワイトなので殊更効果的。こんな導入をしてくる作品は絶対面白いに違いない!
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そう、抜群に面白いんです!前述のような仕組みが全般にあっていちいち抜き出していたら何万字にもなるでしょう。
なので端的な感想は「恐怖」を乗り越える二人の相互作用、辛くてしんどい先のカタルシスでした。
以下、勝手な解釈です。
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キラキラな明星は、既にドン底の恐怖を体験済みです。それはどんなに楽しいこと、やりたい事を完遂しても埋まり切れないくらいの大穴です。これ以上の喪失に遭えば人として壊れてしまうだろうと予測できます。とてつもない恐怖です。なので自分がまだ在るうちに自分の意思で生を終わらせたい、それだけが本当の望みとなっています。
軽々しい明星はそう振る舞っているのもありますが、自分勝手で狭量な男の、そうならざるを得なかった若くして絶望し折れてしまった憐れを強く感じました。
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共感力が半端なく高い久永は、自らの実体験では喪失の恐怖を知りません。しかし日々遺族の深い悲しみに触れ、もしもの恐怖に囚われています。なので他人に深く関わる事を恐れていますが、実は明星に会ったその日にかなり共感し関わってしまっています。
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明星はこれ以上関わったらマズいといったん久永を突き放しますが、生前葬の招待状を送ります。久永へのわずかな未練の表れだと思います。
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そして2人の初合体!こんなの辛すぎる!辛いのにえろい。えっちなのに悲しい。悲しいのに微かな希望が見える。
等々すっごい感情をアップダウンさせにきます。
そして【未練 = 愛 > 死】を完成させてしまう。
ここが本当に素晴らしい!死生観や生きる意味をバッサリ斬って余りある愛の力を読ませてもらえました。
か ら の!リバ!ここもスゴい表現力です!
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今作は単話が読みホで読めます。
ですが、描き下ろしが読後感の良さを爆上げしています。
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