八雲立つ
」のレビュー

八雲立つ

樹なつみ

古代からの民俗学的戦慄と精神的BL

ネタバレ
2023年9月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 古事記、古代からの因縁と呪詛、出雲と熊野、閉鎖され排他的な村の古くから伝わる、身の毛もよだつ因習、巫覡、気、念、場。もう大好きな世界にワクワクドキドキしながら引き込まれました!
女を狂わせ夢中にさせる毒を持つ、父子の眞前と闇乙に惑わされ、破滅の道を歩む、世裡と寧子。確かに悪い男は魅力的ですが、狡猾で陰惨な眞前には闇と破壊しか見えません....少年でも宗主として家の風習と結界を守り、育ての父 海潮への愛着と心の呵責で苦しむ闇乙。父子でも2人は全く違いますが、凄惨な最期はやはり血は争えないのかもしれません......
ドロドロした人間関係の弱い部分と心の闇と成長を描いた衝撃的な作品です。
古代のマナシとミカチヒコが巫覡と鍛冶師の関係以上に、お互いに強く惹かれ、理を曲げ子孫に害を為して迄の深い想いが、千七百年の時を超え、闇乙は母親を恨み女には全く興味がなく、育ての父への愛着と心が許せる七地が重なり、七地は女好きで惚れやすく、不幸な人や頼られると断れないのには、イライラしましたが、闇乙に対する想いが強く、死ぬ覚悟ができてるって、これは愛と宿命以外の何物でも無く、完全な精神的なBLですよね!
やはり闇乙の最期があまりにも悲痛で胸が締め付けられましたが、暫くして転生の示唆があり、もうこれは続編に超期待します!
美形も多く、乱暴でも魅力的な蒿と剡弐、超好青年の脩、極悪非道でも根が優しい楠、うっとり楽しみました!
いいねしたユーザ3人
レビューをシェアしよう!