このレビューはネタバレを含みます▼
1巻からずっと読み進めてきました。お互いの立場、年齢差等を考えた時に、読者はもちろん、大地自身もこのような結末になることは分かっていたはず。
それでも最後にいびつな形であっても二人が結ばれ、「大地くん」、「雫さん」という関係が構築された場面は一つのクライマックスだったとは思う。
しかし、不可避である別れをどのようにもってくるかは作者にとって非常に悩まれたことだろう。私自身、ラストシーンは「伊吹さんと仲良くするのよ!」といったキリッとしたセリフとともに踵を返し、雫センセイはカッコ良く去ってゆくといったシーンを想像していたのだが、シャワーを浴びながら「ゴメンね」、「ゴメンなさい」と泣き崩れる場面に驚きと涙がとまらなかった。
青臭い、多くの男たちが辿ったであろう妄想と、決して結実することのない現実を見事に描写してくれた名作だと思う。