テンカウント
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テンカウント

宝井理人

好みは人それぞれかな

ネタバレ
2023年9月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 商業blにハマりたての頃、人気作はハズレがないだろうと6巻一気に購入。
ですが、
・潔癖症なのにエロに流されて克服していく流れ
・潔癖症の人に対して荒療治すぎない?と黒瀬の行動が強引に見えた
・トイレシーンは本当に潔癖症?と疑う
この他にも理由があって設定に入り込めませんでした。が、レビューを書こうと主人公の心情に注目して読み返してみると謎のエロ展開も少しは理解できました。

主人公のトラウマは実父と実父の塾に通っている女生徒との性行為を目撃。興奮してしまった姿を女生徒に見られ"気持ち悪い"と否定されたこと。
頭を撫でで褒めてもらうことが嬉しかったのにそのことがきっかけで実父に恋愛感情を持つ自分に気づき、気持ち悪さや歪みを隠したくて父にも他者にも触れられなくなる。

そんな複雑な心情を持つ主人公は黒瀬に'偉いですね"と度々肯定する言葉をかけられ、触れなくても見透かしたような目で見られてどんどん自分の歪さを曝け出せるように。

黒瀬の強引に見えた行動も本当に嫌なのは汚いものに触れることではなく、汚い歪さを持つ自分を知られることに恐怖心を抱いていることに気付いたからこその行動だと考えると急なエロ展開ではなく主人公のトラウマを払拭するために必要なことだったんだなと納得しました。
黒瀬の心情もわかりにくいと思っていたのですが、読み返してみると自分を偽って嘘をついている主人公に比べれば無表情でも分かりやすく描写がされていました。見落としていた部分があり、表情や仕草、目などきちんと読み込むことで発見できる面白さはありました。
心情を理解した上でハマらなかった理由は
・SMがそこまで好きではない
・トラウマの原因である女生徒に出会わせといてギャグっぽく締めたのがそんな軽い終わらせ方でいいの?と引っかかった
・実父が高校生に手を出してるのも気持ち悪いのにそれを見て興奮している主人公はやっぱり気持ち悪い
・主人公を総じて可愛いと思わなければ、黒瀬にも特に惹かれなかった(刺さる人には刺さると思います)

普通のblならファンタジーとして流せるところもありますが、病気を扱っていることもありどうしても現実的に考えて引っかかりがありました。
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