偽りの王子と黒鋼の騎士【特別版】(イラスト付き)
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偽りの王子と黒鋼の騎士【特別版】(イラスト付き)

六青みつみ/稲荷家房之介

偽りの自分を捨て、真の愛情を得た元王子

ネタバレ
2023年10月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 壮大なストーリーと、ファンタジーにしては容赦ない無慈悲さで、先の読めない恐怖にも似た緊張感と読み応えがありました。今まで読んだ先生の作品は常に(と言っていいと思う)不幸・辛すぎる境遇…「からの」があるはずと知っているのに、「からの」が全然来ないばかりか、遠ざかってさえいく状況が悲しかったです。
本編を読み終わって、怒涛の流れ(主にシオンの辛すぎる境遇)にハラハラドキドキを経て安堵し、読み切った達成感・感動に浸って満足していました。で、あろうことか物語の最大にして最重要の、一番の伏線が回収されていない事実に気づいてもいませんでした。そんな私に(もしかしたら他の読者さんも?)SSで先生が鮮やかな回収劇を見せくれます。本編後のちょい足しストーリーくらいに思っていたSSを、この時ほどありがたく思ったことはないです。
いつもは割と冷静に伏線回収も意識していて、大きな伏線が未回収だとモヤモヤするのに、気付きもせずに満足していた自分に驚きです。それくらい感動しました。
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