かりそめビッチ南くん
」のレビュー

かりそめビッチ南くん

栗原カナ

お酒は二十歳になってからだよ?

2023年10月14日
大多数の腐女子が「こんな展開が見たい!」と思っているところを、たっぷりと読ませてくれる作品だと思いました。
イケメンでモテモテ憧れの存在の攻めと、健気で可愛い受け(しかも黒髪時々メガネ!)の鉄板なカップリング。
ドラマに必要なストレスになる設定も深刻になり過ぎず、読み手の脳が適度なドーパミンを出して気持ち良くなれる。
えっちなシーンもたくさんある。しかも絵がきれい。
1巻のストーリーをきっちりバッチリ表している作品タイトルも秀逸。
複雑に考えず楽しみたい時にうってつけだと思います。

あと、ストーリー的にディティールにこだわらないという意味で、少女マンガ的な作品だと思いました。
それを良しとするか否かは受け取り側次第ですが、残念ながら私には合いませんでした。
ディティールが粗すぎでも好きな作品はたくさん有ります。
それは粗い目の隙間に思考の余地が広がっている場合です。または伏線として機能している場合、想像が膨らんで奥行きが生まれる作品などetc.です。
本作は、わかりやすいベタ展開の上に生クリームをてんこ盛りにしてスプーンで口まで運んでもらう過保護さを感じました。
***
表題作はそんな感じなのですが、2巻に収録されているスピンオフは比すればかなり良かったです。
レビューを書こうと思ったのは、表題作とスピンオフでは何が違うのか?と考えたからです。
スピンオフは3話しかありませんが、キャラ設定とストーリーがすごくハマっていると感じました。掛け合いのリズムも良く、起承転結が綺麗にまとまって面白い!と思いました。こちらの続編はまだ読んでいませんが楽しみにしています。
対して表題作は、せっかく乗せられたストリームなのに、えっちシーンを挟むためにぶった斬られ、その度に我に返って現実に引き戻されてしまったからかな?と思います。流れって大事なんだなと。大人の都合かもですが実にもったいないです。
ただ先に述べたように、ベタなBLをきれいな絵で読める幸せは確実にあります。
イケメン攻めのスペシャル仕様の恩恵にも与れます。
いいねしたユーザ23人
レビューをシェアしよう!