このレビューはネタバレを含みます▼
一巻ずつ主カプが変わる4カプの話です。
1巻は序章という感じで、一番おとなしめな気がしました。今まで「先生の作品でシリーズものにハズレなし」で来ましたので、面白くない心配はしていなかったのですが、意外にもエンジンがかかるのが遅めで、7割を読んだ辺りからストーリーが大きく動いた感じでした。二人を「相手を丸ごと飲み込む嵐の海と渇ききった砂漠」に例えたのがピッタリな表現で、これ程までに真逆・正反対の、割れ鍋に綴じ蓋カップルの幸せが見れて良かったです。
1巻が静的としたら2巻は打って変わって動的でした。BLに限らず漫画でも小説でも「クズ」と呼ばれるキャラは時々見かけますが、ここに出てきた深見という男は「クズ以外の呼び名はない」と思いましたし、ああいう男の末路は地獄であれと願ったくらいでした。深見を追い詰める展開は、ライオンというイメージに相応しい雄々しさを堪能できました。
私は、知らない単語を直ぐに調べる癖があるので、3巻で「シュレディンガーの猫を正しく指摘せよ」の文が出てきた時点でバカ真面目に色々調べてしまい、訳がわからなくなってしまいましたが、実際の「シュレディンガーの猫」と作中での意味合いは違うので、気にせず読んだ方がいいと思います。途中で読者には真のシュレディンガーが分かりますが、作中の登場人物たちには知る由もないことなので、真剣に猫たちと格闘する姿が滑稽で面白かったです。
4巻は『PET LOVERS』の統括のような内容で、陰謀めいていて一番エキサイティングでした。単純な私は、半分くらいまで読んで「ここでめでたしめでたし?なんかあまり捻りがないな」などと思ってしまったのが大間違いで、その後の凄い展開に心をヒリつかせながら読みました。真実の糸を手繰り寄せようともがく仁摩さんに同情してしまい辛い場面もありました。
4巻を通して、なかなかアップダウンの激しい内容でしたが、とっても楽しめました。