妖奇庵夜話
」のレビュー

妖奇庵夜話

榎田ユウリ

「ラストシーン」まで読みました

ネタバレ
2023年11月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 各巻で事件が起こり、それが解決される推理小説のような展開でした。そして最後は色々な事件が思いもしなかった形で繋がり、ホラー的な結末。最初から最後まで共通のテーマは『家族』でしょうか。初めて会う見知らぬ他人でも血が繋がっていると言うだけで心が揺さぶられてしまう。『家族』とはなんと不条理なものでしょう。伊織も鵺が父親で無ければその存在を消し去ることへの躊躇など全く無かったでしょうから。兄のあの行動は妖人全体を守る為だったと理解しますが、綺麗事を言うのなら青目は法の裁きを受けるべきだったと思います。弟の兄に対する近親に対する愛以上の情の示唆、夷の主人に対する主従愛以上の感情の匂わせはこのお話しに耽美的要素を加えてくれて良かったです。脇坂くんとマメくん、この2人の青年達の成長も堪能しました。現代的男子の脇坂くん、元々男気のある人ではありましたが、最後は実に格好良く魅力的な男性となりました。そんな彼を女性が放っておく訳はないですね。ご結婚おめでとうございます(祝) マメくんは少し前まで気持ちを落ち着ける為に豆を研いでいたなんて信じられないくらいにしっかりした若者となりました。トウの存在も含め恐怖心などネガティブな感情など自分の全ての心の動きと向かい合うことが出来るようになった後の彼の進歩は目覚ましいかぎりです。幼な子のようだったマメくんが見られないのが少し寂しいくらいです。
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