式神の名は、鬼
」のレビュー

式神の名は、鬼

夜光花/笠井あゆみ

夜光花先生×笠井あゆみ先生=鬼より最強

ネタバレ
2023年11月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 以前は鬼を悪しきものとして読もうとはしませんでした。ある時、鬼を毛嫌いするのではなく、鬼を知るためにも読もうと考えて、表紙の絵が気になっていた夜光花先生の此の三巻に渡る小説を読むことにしました。読み始めて直ぐに其の面白さに貪るようにして全巻を読んでしまいました。
各巻の表紙絵が美麗なので、暫く全体や櫂と羅刹の関係性や周りの細かい描写などを眺めて楽しみます。此れだけの絵に各巻の内容を封じ込めるためにも、笠井あゆみ先生は全巻を読破されたのだろうと推察致します。
氷室櫂は何かと足りない抜けている処もある人間ですが、完璧な人間よりも其の方が人にも鬼にも物の怪にも好かれます。土井伊織も高校の時に櫂ともっと親しくなっていたらこんな酷いことを櫂に仕掛けては来なかったでしょう。つくづく残念な人だったと思うばかりです。実際櫂は伊織に好意を持っていたのだから、強引にでも近づけば良かったのにと、今更ながら思ってしまうのです。けれども、櫂には羅刹が似合うし、櫂の弱点を補える者でなければ終生を伴にはできないのだろうと思います。
羅刹や草太や安倍那津巳に助けてもらって今の自分があるということを重々承知している櫂は此れからは人を信頼して頼れるようになるでしょう。しかし、あの広い屋敷を切り盛りする者は必要なので、式神を誰かに似せて創るのでしょうか。
埼玉の山の何処かにに彼等は住んでいるのだと思ってみるのもまた、楽しいものです。
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