極東追憶博物館
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極東追憶博物館

ARUKU

優しくhappyendな是非読んで欲しい作品集📚

2013年11月30日
全部で7作品収録されています。
画柄にクセがありデッサンが…は毎度のARUKU さんですが、こう云う寓話的な作品をとても上手くまとめあげられる、作家さんです。

『ギャンブラー大竹』と『楽しい俳句教室』以外は、時代背景や国はそれぞれですが、ストーリーはもとより、台詞回しやモノローグから、お伽噺か異国の民話のような肌触りを覚える、どこかロマンチックな短編集でした。

ですがそこはARUKU さん。どの話しも、何処かに結末に不安を覚えさせる(猿喰山~が脳裏を過り(´;ω;`)ウッ…)流れを入れますが、この作品集は悲壮な結末はむかえません(*゚∀゚人゚∀゚*)🎶

一番のお気に入りはやはり表題作の『極東追憶博物館』です。
舞台はどうやら、日本はただ敗戦しただけではなく、消滅…。そのバラレルな地球のロシアが舞台となっているようで、ファンタジーさがあります。

そんなウラジオストクで建築を学ぶ学生と、寂れた博物館で、符切りをする日本人青年のお話しです。
学生が立ち寄った博物館の切符切り日本人青年の手に一目惚れをし、切符を切るための小窓を通して愛を語る。しかし控え目で純粋な日本人青年は、自分の手を女性のモノだと勘違いされていたため語ることなく拒絶する。
一言、「男ですよ」と言えはすむ話ですが(´・ω・`;A)その一言が言えないのは、優しく大人しく臆病な性格もあるのでしょうが、囁かれることに胸を熱くし始めた“好意”を終らせたくなかったからでしょう。

ラスト、故郷に帰る学生は最後に一目会いたいと、戻る列車と時刻を小窓から伝えますが、純粋で優しい切符切りの青年は、そんな学生のためにその手を……。

始めにも書きましたが、お伽噺的な作品が多く、またページ数の都合もあったのでしょうが、幸せの結末は書ききらず、「そうして二人は幸せに暮らしました」と云うフレーズが頭に浮かぶラストです。それがこの作風には合っているように思います。


画柄に迷っている方は、この作品集はHシーンがメインなモノではないので、先ずは表題作をバラ買いしてみてはどうでしょうか(*'∀'*)💗

ARUKUさん作品を初読みの方にちょうど良い作品集だとも思います😊
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