先輩がむかつく!
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先輩がむかつく!

御景椿

むかつくほどかわいい!

ネタバレ
2023年11月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●…先輩相楽のことをそう思えるかどうかが作品に没入できるかどうかの分かれ目かも…これが「ガキっぽい」とか「あざとい」とかに見えたら読むのしんどいかもしれません。彼は“好き”を知らない孤独な天才…なのです。
●2巻続き物なので1巻だけでは成立しません。1巻の中盤までは高校時代が描かれているのですが、ものすごく密度が濃いので、3話で現在の話に戻ってきたときに「えっまだ1巻の半分も終わってない?!」と驚きました。それくらい彼らの高校時代はキラキラしてた。
●加賀谷は相楽にとって、多分初めての「自分を“カメラマン相楽了の天才息子”として見なかった人」で、これだけで恋に落ちるのに十分。だけど本人“好き”の自覚なく、無邪気につきまとうだけ…雛鳥みたいな。最後の最後でようやく「これが“好き”なのならきっと最初からずっと好き」になります。
●加賀谷も、出会う前こそ“相楽了の息子”の認識だったけど、2年間一緒に過ごして(つきまとわれて笑)相楽の相楽らしい部分に惹かれていたのに、最後に言っちゃうんだよなぁ…「相楽了の息子」「天才」って(でも加賀谷にとってはそこも含めて“相楽先輩”だったと思うんですよね…)。相楽は加賀谷のこと「うそつき」と言い、相楽も嘘をついた。「写真もお前も好きじゃない」って。これが高校時代の別れ。
●ひねくれた相楽は“相楽了の息子”として仕事してた。つまらなそうに。自分らしさを海の底に沈めて。それがまた、加賀谷との再会で揺れるんです。加賀谷が「好き」と言ってくれたことをずっと大事にしてる相楽。加賀谷がそばにいるおかげで、少しずつ自分の写真を撮れるようになる。
●加賀谷の方も、再会してやっぱり相楽を相楽として好きだなぁと思い、二人で相楽らしさを取り戻していくのがいい。加賀谷が相楽を「花が咲くように笑う人だった」って表現したのが印象深いです。その笑顔が相楽に戻ったとき、加賀谷は「おかえり先輩」って言うのです。泣けた…。
●相楽が結局“好き”に無自覚なまま加賀谷とえっちしちゃうので、そこは賛否あるのかな…でも、見てたら“好き”しかないんですよ。加賀谷はえっちのときちょっとSっぽさ出してきますね。(ほんのちょっとです。そこがいい。)
●ラストは二人とも未来志向で幸せそうで、とても良かったです。
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