お疲れさまと伝えたい





煎じ詰めたら【万能感に酔い痴れるナルシストに振り回される者全ての闘いを、見守るしかできない無力感に苛まれながらも『仏教本来の意味で』他力本願に生きることを支援し寿ぐ物語】でしょうか。
神話や宗教などがテーマの観念的作品とか、人の様々な想いの背景や変化・成長をテーマにする作品、美術的にローマングロテスクやゴシックの要素と概ねの女子受けする綺麗な画風のミックスが好みなら、読んで悪くないと思います。
但し、時間の余裕と、読破するエネルギーとか根気があれば。
とにかく絵も話も細かいです。個人的には病的と感じられるほど、微に入り細を穿った強迫的な作品に読めて、何度サジを投げたくなったやら。少しずつ読んでもお腹いっぱいになりました。
・好ましい面
時系列を追ってキャラ達の動きを同時進行で描く場面が多い。
だから(この状況下で彼等はどうなってるんだっけ。あれ、何処に描いてあったっけ?)という混乱が案外と少なく、複雑なストーリー展開の割には解りやすい傾向にある。
・好ましくない面
書物と映画を含む既存の宗教や神話作品のイイトコ取りに、これまた既存の近親相姦や異種間恋愛を絡め、読者心理を巧妙に刺激している様に読める。
だからヒットしたのだろうし、これが作者氏の創り出した世界ではあるのだろうけれど、なんていうか……一過性の満足で終わりな感じ。
少なくとも自分には、ソドムの市や十戒といった映画や、原作のデビルマンや火の鳥、百億/千億、月の子やシルクロード・シリーズの様に心を鷲掴みにされ、血肉となるほどの魅力はないなぁ。
それに、旧約聖書がメインっぽいのに伏線というよりも、ちゃっかりと知名度のある神話や宗教観、契約をキーワードとして使うことを重視する傾向がゲーム的な点、日本人に聞き覚えのありそうな言葉を言語圏の境界なしに使う点が、作品として軽い印象を与える。
最後に、ラストの呆気なさが作品の軽さをより強めた印象。自分には、ですが。
・結論
どうせ長丁場なら、どんな展開でも全世界の区切りがつくまで続編や番外編ででも描き続けてくれたら、多分付き合うのに。と思います。
壮大なテーマと前振りですが、作品世界の確立とするならAKIRAの域にも達っせないでしょう。と、不完全燃焼の気持ちで評価をしました。

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shikimi さん
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