ロッカバイディア
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ロッカバイディア

暮田マキネ

累の生きる術が切ない

2023年11月14日
養子という立場に引け目を感じいい子でいようとする男と、そんな幼なじみに自分にだけは甘えていいと教え込んできた男。義母の妊娠によってそんな二人の微妙な関係に終わりを告げたことから展開するお話。
とにかく累の人生、生き方がとても切なく辛いです。素敵な家族が出来、新しい名前をもらって新しい人生がスタートしたけれど、根っこの部分に捨てられた過去がしっかりと残っていて、考え方まで急には変えられなかったことが丁寧に描かれていました。そしてそれが爆弾となり新しい命というきっかけで爆発してしまう。とても苦しいけれど、この爆発がきっかけで累と保科家はもっと絆が深まったし、八尋にも甘えられるようになったんだと思うと、これは累の成長の過程だったのかなと思いました。お義母さんとの話し合う場面は涙なしでは読めなかったです。
そして、累にとって八尋が絶対の存在であることも伝わってきました。最後の告白の場面は、読者も八尋と同じく拍子抜けしてしまう展開でしたが、きちんと幸せになる方法を自分の口で言えたことがとても良かったし、やっと両想いになれたことが嬉しく思いました。両家の理解ある対応と、累が周りの皆にとても大事に思われていることが分かって幸せな気持ちになりました。これぞまさに救済のBLだと思います。
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