このレビューはネタバレを含みます▼
読後の余韻が凄い。大正の空気感といいこの時代だからこその葛藤がとても丁寧に描かれていて最高でした。無駄が一切なく一巻とは思えないほど読み応えあります。震災で人の死を目の当たりにして概念や死生観がひっくり返り自分の好きなように生きる道を選ぼうと腹を括る主人公が男前でかっこいい。悲恋になるかも…という嫌な予感は払拭されました。その後の二人を時が流れて記念館に展示された写真が全て物語ってるのが凄い。自分のためだけに小説を書いてもらえるなんてロマンチックすぎる。そしてその小説を読みながら過去の情事を思い出し愛された日々に想いを馳せるラストはため息が出るほど圧巻で素敵でした。