冬知らずの恋
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冬知らずの恋

夏野寛子

お隣同士のDKが過ごす夏

ネタバレ
2023年11月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ アパートの隣同士に住む従兄弟同士の立花愁人と笠原千紘のお話。エアコンが効かないからと勝手に愁のベッドに入ってくる千紘に困りながらも、千紘のことが好きな愁は窓に鍵をかけることが出来ません。ある日、愁は自らを慰めながら寝ている千紘にキスしているところを母親に見られてしまいます。衝撃に涙を流す母親に、愁は慌てて彼女を作りますが、心も身体もついてゆきません。そして千紘が女の子を連れ込んでいるのを見て、女の子じゃない自分は千紘への想いも永遠に報われないのだと切なくなり、事後で眠り込んでいる千紘にキスしてしまうのでした。そこで目を覚ました千紘は「俺、どうしたらいいの?」と訊いてきます。5年間兄弟みたいに親友みたいに暮らしてきた二人が思春期を迎えて、まず愁が恋を自覚し、その想いに千紘が気付き、お互いへの想いのジャンル分けに悩みます。17歳の夏のお話は、アパートの階段やベランダ、お風呂場のタイル、外の混み行った電線などとてもリアルに描かれています。フユシラズという冬に咲く陽だまりみたいに明るい花にDKの初々しいアオハルが重なります。
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