おやすみなさい、また明日
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おやすみなさい、また明日

凪良ゆう

ひとりぼっちの二人の生涯をかけた愛

ネタバレ
2023年11月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『恋愛前夜•求愛前夜』のスピンオフ。売れっ子少女漫画家のヤコ先生の編集者で恋人の貢藤利里と下宿が同じ小説家•遠藤告美のお話です。つぐみが10年付き合った彼氏から別れを告げられるシーンから始まります。理由は子供が欲しいからという身勝手なもので、両親を既に亡くして身寄りの無い35歳のつぐみは引越先の保証人に困ってしまいます。そんな時、迷い猫をきっかけに荒野朔太郎と知り合い、つぐみは朔太郎の祖父が営むアパートに入居することになります。古くてレトロでお洒落なアパートにはユニークな入居者たちが程良い距離感で暮らしており、朔太郎の明るく温かな人柄に、つぐみの失恋の痛手も癒されてゆきます。何でも屋をしている8つ年下の朔太郎とつぐみは惹かれあってゆくのですが、朔太郎は何かに苦しんでいて、つぐみとの間に距離を置こうとするのでした。誰とも分かち合えない朔太郎の苦しみを、つぐみはそっと見守り続けます。忘れることの残酷さと救いとを描く本作は、夜の茂みでひっそり眠る紋白蝶、℃マークみたいな月と星、夕闇に溶ける指先、静かに花びらを散らす白い山茶花と、随所に出てくるモチーフが儚く美しく、それらがラストシーンに繋がってゆきます。失ったものを嘆かずに、ただ受け入れる強さと、交わした約束を最後まで守った恋人たちの幸せなラストに泣かされる名作です。
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