透明な声で僕を呼んで
」のレビュー

透明な声で僕を呼んで

あさじまルイ

支え合って生きてきた二人の切ない共依存

ネタバレ
2023年12月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 同じ施設出身の過保護なリーマン・塁人×失声症の高校生・柚希。それぞれ親に虐/待を受けて施設に入り、今は二人で暮らしている塁人と柚希。柚希は首に包帯を巻かないと声が出せない失声症で、塁人はそれを自分のせいだと責任を感じている。共に包帯を巻かなくても話せるようになることを望む気持ちと、このままでいたい気持ちが入り混じる共依存もの。小さい頃から支え合って生きてきた二人のこれまでを想像するだけでもう…。痛いほど互いを想っているのに、後ろめたい思いが足を引っ張ってしまう。包帯なしで本当の声で伝えたい柚希と柚希を縛り付けておきたい本音に苦しむ塁人が、切なくてもどかしくて。精一杯の柚希の声に泣けてしまった。二人の理解者・椎名の存在が大きかったし、柚希にいい友人ができたのもよかったな。たくさん傷付いてきた分、二人で幸せになって欲しい!包帯のかわりがすごく素敵でじんわり。
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