大人の二人の難しい関係が表現された一冊

「俺が好きなら跪け」のスピンオフ、松田の上司神谷次長と同期の梶次長との一筋縄ではいかない大人の恋愛模様を描いたお話。
スピン元の加藤×松田よりも大人の二人のほろ苦い関係が上下巻で丁寧に描かれています。いきなりえちシーンから始まりますが、眼鏡をかけている時とかけていない時の神谷のギャップがとにかく凄いです。仕事の時はキレ者のスマートさがありますが、プライベートの顔になると匂い立つような色気が絵から伝わってきます。そしてそんな神谷との一夜の事故から神谷に迫る梶。責任感が強いタイプには見えなかったので急だなと思いましたが、梶が実は以前から神谷を気にしていたような匂わせの場面がちょこちょこあり、梶の心情がもっと知りたいと思いました。
神谷は最初こそ性のはけ口にしか見ていなかったようですが、何度も迫られるうちに自然と梶を気にするようになります。だけどノンケの梶の家族を作るという未来を奪うことやゲイの世界に巻き込むことを気にかけ、なかなか距離を縮めません。二人とも本音でぶつかり合うことがなかなかないけど、内に秘める想いが丁寧に描写されているので、告白のシーンでは本当に良かったと心から思いました。
梶の視点でこのお話を見たらまた違ったものが感じられそうなので、あったら面白いなと思います。また、今後はスピン元の二人との絡みも期待したいです。