BEASTARS
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BEASTARS

板垣巴留

最初は名作の匂いがあった

2023年12月19日
肉食動物と草食動物が喰う喰われるという関係性を残したまま現代社会のような世界で共存生活する物語。シンプルに聞こえるけど大変難しい設定ながら、特に最初の5巻くらいまではこの世界観を見事に描き切っており、マンガ大賞等の幾つかの賞に輝くのも納得の仕上がりであった。ただそれ以降は作者が若く経験値の無さ故か、ヒット作に恵まれてないチャンピオン編集部の手腕の無さ故か、週刊誌特有の構想期間の短さ故かは分からないが、突拍子もない話の展開や「これ必要?」という設定が目についてきて、最初の頃の名作感は薄れていってしまう。ただ最後まで読むとそういう伏線が見事!ではなく緩〜く回収されていくので、一見無駄に思えた内容もちゃんとマスタープランに沿っていたのかな?と思え、物語としての纏まりは感じることができた。そんな話の骨子は「肉食と草食の理想の関係」とその先に待ち受ける「異種族恋愛の是非」であり、私自身は人間界でもたまにあるような「お前になら殺されても良い」的な「あなたになら食べられても良い」が理想の関係かと勝手に想像していた。実際の結末は答えの無いテーマであるため結末はボンヤリはぐらかされた印象もあるが、レゴシの祖母が私の考えに近い行動をしていたのもあり、私はこのEDで良かったと思う。
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