あなたの愛など要りません
」のレビュー

あなたの愛など要りません

冬馬亮/ありおか

ランスとラシェルの愛に感動…!

ネタバレ
2023年12月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ これは傑作…!ライトノベルじゃねえ、文学作品だよこれ…!

ランスロットの無償の愛、ラシェルの母としての愛、キンバリーの包み込むような優しい愛…そんな美しい愛の数々の他に、アリーのからりとした穏やかな愛や、ヘンドリックの無自覚で歪んだ愛など、様々な愛の形に溢れた作品です。

他の方もおっしゃるように描写は群像劇の形に近いですね。
ラシェルやランスたち以外にもアリー視点の描写もあって良かったです。彼女のさっぱりと飄々として、力強く生きるキャラクターは素晴らしい。決して悪役ではないところも良い。あと意外と常識人なところも。
あとヘンカス(あんなのカス呼びでいいよな?)視点の描写も意外と多かったです。出る度にムカつく行動するから、うるせえすっこんでろドグサレサイコ野郎って思ってたけど。

そんな腐れ野郎のヘンカスが中盤あたりからゆっくりと、真綿で締めるようにじわじわと崩壊していく様は最高でした。ほぼ勝手に自滅こいてただけですが。
決してオラッ断罪!スカッと爽やか!って感じじゃないけど、あれは緩慢で致死性の断罪描写だったと思うのですよね。なぶり殺しスタイルの断罪、最高に良いです。
そしてこんな奴にも救済の道があるのがこの作品のポイントであり良いところ。
でもこいつラシェルへの数々の酷い仕打ちだけでなく、アリーに子どもが出来た時も「子どもが出来たの」→「そうか(虚無)」ってクソみたいな対応してんだよね。
やっぱこいつ救済要らねえわカスだわ、死んでくれ(死んだけど)。

あといくつかの伏線が回収されてない、というレビューがありましたが多分伏線は全て回収されていると思います。
はっきりした描写じゃなく「多分あの時のあれもこいつの仕業かなあ」とか「ここまで言えばわかるわね?」って感じの匂わせ描写もあるので、若干わかりにくいですが。
伏線回収がされてるのは嬉しい誤算でした。
皆様のレビューにはいつも作品購入の判断材料として大いに助けられていますが、時には自分の直感を信じて買うのもアリだなと思った次第。

こういう感動と余韻に浸れる作品に久々に出会えた気がします。買って良かった!
いいねしたユーザ49人
レビューをシェアしよう!