このレビューはネタバレを含みます▼
ストーリーもコマ割りも表情もよく練られています!
さらっと読んでしまいそうな一コマにも意味があるのが伝わってきます。文字で多く語らなくても絵で伝わるので、読み応えがあります。ここからは盛大なネタバレなのでご注意を……
捜索願を警察が受け入れてさえいれば、慶臣が儀式を強要されることも、三輪が閉じ込められて成長の機会を奪われることもなかった。悲劇はそこから始まったのであり、まさに「時間がかかった」と言えるし、防げたかもしれない事件であったことに対する憤りややるせなさが紀人が家紋をじっと見つめるシーンから伝わってきます。だからこそ、病室で慶臣から「いつ死んでもいいと思っていた」と聞かされた紀人の表情があまりに辛い。その直後の慶臣の言葉を聞いて抱きしめるシーンは愛おしさが伝わるし、紀人自身も救われたのかもしれません。最後のシーンも、儀式=苦しみであったものを自分との行為で全部上書きすることで純粋に幸せだけを感じて欲しい、犯人の「苦しませたかった」から解放することが本当の解決なのだ、と紀人の慶臣への深い深い(深すぎる?)愛を感じてなりません。慶臣の表情からも、ああ未来はきっと幸せしかないんだろうなと思わせてくれる好きなシーンです。
何度も読み返したくなるお話でした!