いつか君とはなれ【単行本版】
」のレビュー

いつか君とはなれ【単行本版】

井上ナヲ

離れてみて分かる

ネタバレ
2024年1月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 静かな物語だ。エチはなく、ゆっくりと育った気持ちをゆっくりと受け入れていく。そんな感じ。

喜一と次郎は義理の親子。次郎は喜一の父親が好きだった。亡くなったとわかり、彼が大切にしたものを大事にしたいと思い、夏美と喜一を呼び寄せた。
2人のために形として結婚した。

喜一を好きだった人の代りにしたくなく、喜一の思いを拒否した次郎。
家を出た喜一。離れて分かる愛しい思い。

喜一の心は決まっている。あとは次郎が答えを出すだけ。人形師の次郎が完成させた「愛しい人」が答えなのだろう。

今どきのBLならば、好きの確認でエチは当たり前だけど、こちらの作品はそうはならない。積年の思いは簡単に事を及ばさない。
読み手によっては物足りなさを感じるかもしれないが、この作品は之でよいのだと思う。

精一杯のキスが可愛かった。
いいねしたユーザ13人
レビューをシェアしよう!