このレビューはネタバレを含みます▼
スピン元のイキガミ本編を読み、そのままの勢いで柴田さん編へ……!
…………やっぱり大泣きしました。社内恋愛で失敗した柴田さん、失敗とかいうレベルじゃないって……。
兵器として見ていたイキガミの春人を『操って』やるつもりだった柴田さんは春人の人としての性格や優しさを知って愛してしまったせいで、自分自身の考えに苦しめられていたんですね。
愛されて幸せなのに、幸せがふさわしくないと思ってしまう。でも春人に愛されることで自分も尊いものになれた気がする。
一方で世論はイキガミである春人を祭り上げて、人間としての春人は柴田さんの前でしか息ができなくなっていく……。
眼球を提供したトラウマがあるでしょうから、重傷を負った春人がドナーである柴田さんを守るために(身体の一部を提供させないために)死んだと柴田さん自身は思ってましたけど、確かにそういう面もあると思うんですが、その直前に春人は抑うつ状態に陥ってた部分もあるのかなと思うんですよね。休息が取れていない、眠れていない等。
だから春人自身も「これで終われる」と安心した部分もあるのかなと思います。あの最後の微笑みとかね。柴田さんと生きるのは幸せだけれど、傷つけあうことでもあるから……。
そんな過去が描かれ、そして滝くん!!君はなんていい男なんだろうね!?誰でもいいなら俺でもいいじゃん、で大泣きです。
柴田さんも滝くんがいい男だってわかってるからずっと遠ざけていたんでしょう。春人は自分のために死んだ(と思い込んでる)のに他の誰かを好きになるのは春人に悪いと思ってたんでしょうね。だから投げやりに滝くんに抱くことを迫ったし、吉野と鬼道にぶつけた言葉も自分を一番傷つける言葉を選んだ。それでも滝くんはすべてをひっくるめて柴田さんを追っかけて守って守られて愛してくれるデカい男ですよ、いい男だよ本当に。攻め厨は泣くしかできないよもう。ありがとね、ほんとに。
人生って出逢いと別れの繰り返しで、大事な存在はいくつあってもいいんだと思えるエピローグでまたホロリと泣きました。
余談ですが嫌な感じで登場してる向井という男は、きっかけはそうだけどイキガミだからという理由ではなく愛を得た鬼道と吉野、春人(滝くん)と柴田さんたちと対比する存在(たまたまイキガミだから得られた仮初の愛に縋る哀れな男)として描かれていて上手いな〜と思いました。