魔道祖師
」のレビュー

魔道祖師

墨香銅臭/鄭穎馨/千二百

多種多様なジャンルの入り交じった作品

ネタバレ
2024年1月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ なかなかの長編で、かなり気合いを入れて読まないと挫折しそう…ということと、そこそこのお値段から二の足を踏んでいましたが、ようやくかの有名な中華BLを読むことができました。1巻ずつ完結ではなく4巻まですべて繋がっていることから、寝る間を惜しんで一気読みしました。

これをすんなりBLというくくりに入れるのは、少しもったいない気がします。中華ファンタジーであり、ミステリーであり、アクションであり、時代ものであり…。しかし主役2人の関係性が男同士ということで、ライトノベルのBL小説枠になってしまうんですよね。もちろん、そこが重要な点でもあるのですが、それを除いてもその他の要素で読ませる勢いと内容です。

さて、あらすじは複雑なので置いておいて。

読む前にいくつかのレビューを見て、かなり取っ付きにくい作品なのかなと思っていました。特に名前に関しては、中国の歴史的、文化的な背景を設定に織り込んでいることにより、1人に複数の呼び名があります。でも注意はほとんどここだけ。少し考え方を変えれば、西洋ファンタジーにおける魔法使いと死霊使いのお話なのです。その内容はハリ○タに勝るとも劣らぬ本格派。

なので、とにかく長いです(笑)BL抜きで読んでも面白いと言いつつも、どこまでも恋愛要素の見えにくい過去話が続き、進展の遅い関係性に焦れ、BLとして読んでいる身としてはつらかったです。中盤辺りでもうちょっと、恋愛のドキドキとかハラハラがあっても良かったように思います。しかしそのつらさを乗り越えての想いが通じ合う様は、カタルシスにも似た快感を覚えました。でもあの……終盤、ちょっとはっちゃけすぎじゃない?「………」×3以降ははっちゃけすぎてて草生えました(笑)

しかし3巻まではBLとしては物足りなかったですね。あとひとつ気になったのが、他人の身体なのに、ってところです。いろいろな行為が「でもそれ別人の身体よね?」ってなるところがあって。どうせなら身体も復活して欲しかったな…。

どうしてもBL以外の要素が強すぎて、いろいろな登場人物の生い立ちや環境に同情したり、嫌な人物像が多かったり、謎解きストーリーの方を追ってしまい、それだけで最後まで読んだ感覚です。みなさんの評価との違いがなぜ起こるのか、不思議です。BLでなければ読んでないだろうし…。うーん、難しいですね。
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