どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます 【連載版】
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どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます 【連載版】

セレン/碧貴子/すらだまみ

設定がかなり緻密。ありったけの賛辞を!

ネタバレ
2024年1月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読んだ感想は「なにこれすごい」でした。
他の漫画の追随を許さない唯一無二のストーリー、絵柄、、もしまだ読んだことのない方がいたら、この漫画を知らないなんて勿体無い!と言ってしまいそう。
この漫画のポイントは大きく3つ、【ストーリー】、【設定】、【絵柄】です。
まずはストーリーについて。
何を隠そうこの漫画、ヒロインもヒーローも『超不器用』なんです。よくある設定だと思いますよね?本当に不器用なんですよ。
不器用な2人が本音をぽろっとこぼして、想いが通じてハッピーエンド……そんな一筋縄ではいかないのがこの2人。
片方が素直に接してももう片方は決して本音を明かさずキツく当たり、その結果両方が傷ついてもなお相手を傷つけ続けてしまう…それがこの漫画です。
好意を一度もぶつけず敵意ばかり向けるヒーローは文字通り【愚息】という言葉がぴったり。
これ、一歩間違えたら普通にキャラヘイト溜まって不発で終わる可能性もかなり孕んでいたと思います。

そうなってないのは確実に作者の力量があるから。

ときに令嬢好きの読者様、
「今更愛を囁かれようがヒロインにした仕打ちは許せない!私なら別れる!!」
と冷めてしまった経験ないですか?
そんな経験のある人にこそ読んでほしい。
キャラに不信感を持ったりイライラさせられた時点でこの漫画に主導権を握られていたんだろうな、と読後の今はひしひしと感じています。

次に【設定】
今まで読んだ漫画の中でもかなりしっかり設定が練ってある印象。爵位が「キャラの序列を決めるだけのお飾り」ではなく、ストーリーの中でしっかりと生きている。
10話分だけでも、文字数によってはそのまま1つのお話として完結させられると思うくらい、設定が緻密です。その分、モノローグは必然的に多くなっていますが、漫画という小説とは違う限られたフィールドの中でわかりやすく伝え切っていると思います。
言葉遣いも令嬢らしく美しい。
ですます調のように、ただ語尾に「ませ」をつければいいといった雑さを感じませんでした。
臨場感あふれる場面ではこういった言葉遣いのおかげでさらに没入感を感じることができました。

最後に【絵柄】
表情の描き分けが上手いです。
安心した顔、相手の思いを受け止めきれずに困惑しつつ嬉しさを感じる泣き顔、といった複雑な感情を絵で表現していて感動しました。
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