傲慢な貴公子はオメガに堕ちる ~隷獣アルファを愛した代償~【イラスト付き】【単行本書き下ろしSS付き】
」のレビュー

傲慢な貴公子はオメガに堕ちる ~隷獣アルファを愛した代償~【イラスト付き】【単行本書き下ろしSS付き】

珈琲きの子/MEGUM

謎めいた黒豹獣人の奴隷×孤独な貴族の息子

ネタバレ
2024年1月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 中世ヨーロッパ的世界に男女の性別のみを持つ多数派の人間と、オメガバースの3つの性を持つ獣人とドワーフらが冷戦状態で共存しています。人間の国の公爵家の嫡男•ヨアンは王都にある学院への入学が決まり、父親に連れられて護衛を選ぶために奴隷商に赴きます。そこで黒豹の獣人イェレに出逢ったヨアンは一目で気に入り、イェレを連れて帰ります。酷い怪我を負っていたイェレを自分で一生懸命に手当したヨアンは、稀少なアルファの黒豹獣人を王都で見せびらかしたいと考えていました。忙しくてほとんど家にいない父親、離れに住む義母と義弟、必要以上に接触してこない使用人に囲まれてぽつんと暮らしてきたヨアンは、知的で穏やかなイェレに惹かれてゆきます。数年経っても一定の距離を保つイェレに物足りなくなったヨアンは、イェレとの別れを控えた夜、アルファを惹きつけるという薬を服用するのでした。前半はヨアン視点で孤独さからの幼い恋心が切々と紡がれます。後半のイェレ視点ではヨアンを襲う悲劇からイェレの過去の悲しみが淡々と描かれ、ゆっくりとイェレの心が溶け出してゆきます。自分の犯した愚かな行為に苦しむヨアン、相手の自己犠牲に深く傷ついたイェレ、どちらも重いですが、二人の心がポジティブになるにつれて戸外の光溢れる描写か増えてくるのが上手いです。二人の旅を描く番外編、後日譚とSSはとっても甘くハッピーで良いバランスでした。ゴテゴテしたタイトルが勿体無いです。
いいねしたユーザ2人
レビューをシェアしよう!