片恋のスピカ
」のレビュー

片恋のスピカ

中庭みかな/さがのひを

強く輝く一等星と静かに光るしるしの星

ネタバレ
2024年1月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 図書館でアルバイトする真鍋乙矢は、職員で7つ年上の霧島柊吾にひっそりと片想いしています。22歳の乙矢は華奢で幼く見えることから「オトメちゃん」と揶揄われてきました。実はゲイである乙矢にとってそれはとても辛く、かと言って言い返すことも出来ず、1年前、ついに会社での嘲笑に耐えきれず心と身体が悲鳴を上げてしまい退職したのでした。しばらくしてやっと日中起きられるようになった乙矢は図書館に行き、そこで柊吾と出逢います。ふわふわした栗色の髪と野暮ったい黒縁眼鏡の柊吾は大きなムク犬みたいで、乙矢のコンプレックスである名前を見て「僕、乙女座なんですよ」と穏やかに返してくれたのでした。その後、七夕飾りから落ちた銀紙の星を柊吾に手渡すシーンがとってもエモいです。乙女座の一等星スピカのように柊吾のことを遠く大切に想う乙矢の想いもキラキラと美しいです。困った利用者や他の職員達を交えながら、乙矢の心が健やかに癒され、恋に踏み出すまでがゆっくりと描かれています。
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