アンチロマンス
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アンチロマンス

日高ショーコ

心情がすごい

ネタバレ
2024年1月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 心の動きとか、葛藤とか、人間のダメなとことか、そういうのが全部全部詰め込まれてて、すんなり進むわけじゃなく、避けてかわして逃げて誤魔化して、めちゃくちゃ遠回りしてたどり着いた関係がまだ終わりじゃなくて、これからも続いていくためにまたきっと心の壁にぶつかるんだろうけど、二人ならきっと大丈夫と思える。同居して6年、というのは現実世界にするときっとあり得ないことに近いんだと思う。その時点で何かしら特別。最初の嫉妬からはじまり、最後にも見せた周防の亮への触れたい欲からして、きっと周防の方が亮へ執着しているのではないだろうかと思うほどだった。二人ともダメダメなんだと思う。言葉にしないと分からないのは最初からそうなのに、ちょっと許容を超えそうなのに気づいたらすぐに離れて試して、でもちょっとの希望は残しといて、ずるい大人たちだなと思うのに、誰しもがきっと心当たりあるであろう心の卑しい部分をうまく表してて苦しい。亮だって話聞こうとしないし、1だった関係から急に100は難しいのに選択を迫られてもって思うし、あまりにもだったわけで、だから周防がクズとかは思わないかな。どっちもどっちだもんね。心の葛藤も苦しさも凄く丁寧に描かれていてよかった。あとリバだったのはびっくりした笑。あとあと良かったといえば、登場してくる先輩と店のママさん、店長と御園さん、そんな事もあったよねって言えるまでになってしまうくらい時が流れてしまったその時間が切なかった。本当にタイミングだと思うから。一年前思っていたことも一年後には価値観変わってたりする。鮮度って何事も大事だと思う。だからこそ先輩のいう、まだ外野からしてみれば何一つ終わってないだろって思う二人の関係が羨ましかったっていうのが痛いほどわかる。きっとそういう恋は何年経っても心の片隅にちょこんって居るもんだから。苦しいわけじゃないけど、ちょっと切ない気はしてしまうんだよ。作者さんの言葉の選択とか、言い回し、使いどころも凄く考えられていて、二人の世界だけではなく多方面の感情も含まれていて色んな人の色んな感情も見え隠れしていたのがよかった。
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