瓜を破る
」のレビュー

瓜を破る

板倉梓

最高におすすめです

ネタバレ
2024年1月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 単行本が3巻まで出ていた頃に読み始め、1巻目ではさほどはまりませんでした。画があまり好みじゃないかもと思いながら何となく2巻へ進みましたがそこからどはまりです。続きが読みたすぎて単話で買うようになり、今は掲載誌の週刊漫画TIMESを購入するに至ってます。鍵谷とまい子、ここまで応援したくなる推しカプは初めてです。新丸子や久が原がわからず地図で調べたり、長瀞とはどこぞや、都内から電車でどれくらいなのか乗換案内アプリで検索したり、最新話からまた1巻へ戻って読み返すループも数え切れないほど。群像劇なので登場人物が大勢です。一人一人が奥行きある描かれ方をされていて、さまざまな恋愛、友情、家庭、仕事などのエピソードがあります。ベッドシーンはいじらしいのと大胆なのとでドキドキします。とにかく板倉先生の表現力がすばらしくて、最初に画がどうこうと思った自分を張り倒したい。生活の細部の描写、人間関係の進展の仕方、キャラクター造形がきめ細やかです。ユーモアとシリアスのバランスもとてもいい。体目当ての付き合いは本意じゃない、でも体を含めてその人なんだ、みたいなモノローグが出てきますが、本当にその通りで体と心両方でその人だし、内面における成功も挫折も強さも弱さも優越感も劣等感も、全部ひっくるめてその人を形成してる。と同時にそれらが固定されるわけではなく、人との出会いで変容していく。他人と関わるのは嫌なことも面倒なこともあるけど、それでも、すばらしいなあと尊い気持ちにさせてくれる作品です。いつかまい子と鍵谷父が会って千里という名前の由来を尋ねたりしないかなとか、鍵谷とまい子兄が吸血鬼退治人の話で盛り上がってほしいとか、妄想が止まりません。長く書いてしまいましたが、思いが溢れてシーモアで初レビューしてしまいました。おすすめです。
いいねしたユーザ15人
レビューをシェアしよう!