婚約者は、私の妹に恋をする
」のレビュー

婚約者は、私の妹に恋をする

ましろ/はなぶさ/宵マチ

とても残酷なお話。

ネタバレ
2024年2月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 両親の不貞の業を一身に背負う末裔のお話。
4巻の後半と、末尾の「泡沫の夢の名前は。」にて。それは明かされる。結ばれてはならない恋人同士の2人(イリアの父親と外国の姫)は、別れた風を装って父に姫君の侍女を下賜する。愛の無い父と身代わりの侍女はそれでもイリアを儲け、表面的には家族の体裁を整えてはいたが、姫と父の逢瀬は頻繁に行われ、本物の愛の結晶であるシルビアを孕むのだ。それをずっと側で見守っていた母の心が壊れない訳がない。父が本当に愛する姫の子を可愛がり、うっかり生ませてしまったイリアへの罪悪感も無く、浮かれて生きていたキモさ。何不自由無く愛されて育ち、知らずに傲慢に育った一見天使に見えるシルビアがその業を背負わないわけが無い。彼女は欲望のままにイリアの婚約者を奪い、イリアの尊厳を奪い、虐げ、顧みもしない。実の母親と同じことをしてのうのうとこの世の楽しみを謳歌する。彼女への罰は自分の死の間際、ただ反省をチラッとするだけだ。力ずくて奪った姉の婚約者が戦場で命を落とし、その死を看取れなかった事だけだ。死という別れが来るまでに、散々愛され、邪魔者を排除し、愛する男の子供を産み育てて、この世の幸せを享受し続けた彼女に何の不満があるのかと。怒りを覚えました。「だって欲しかったんだもの」ただそれだけの為に。クズの娘はやはりクズ。原作ノベルのレビューを拝読すると、それでもイリアにはハッピーエンドが待っている様なので、それを待ちたいと思います。クズ共へのザマァは無いみたいですが。それでもイリアの幸せを願って。結末を待ちます。
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