コントラスト
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コントラスト

itz

めちゃ良かった

ネタバレ
2024年2月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ なにか盛り上がる瞬間があるわけでもなく淡々と過ぎていくのだけれど、それぞれの感情や葛藤や苦悩が繊細に表現されていて。めちゃくちゃページ数多いのにエチ無いし、でも満足度高い。ある日突然手のひら返したようにあんなに仲良かった人から浴びせられる心無い言葉。あの、手のひら返した瞬間というのは本当に恐ろしくて、なんにも言葉が出ないものだ。なんで、しか出てこない。こちら側も、なんで、が怒りに変わってもおかしくない状況で、陽はかつて友達だったその人の口から、そんな言葉を言わせてしまった事を悔やんでる。そしてまた自分ではなく周りの人のことを心配する。そんなに、こんなに優しいなんて。バランスを取り合ってるという二人の笑顔は笑顔じゃなくて、本当に繊細な表情のタッチで訴えかけてくる。私は、なにも悪いことじゃないと思うんだよな。傷の舐めあいで何が悪いんだろうか。しかも最後に知ったけど、君ら二人よくそこまてで留めてたな?いやどこまでか知らんが。神田さん優しい人だと思うよ?普通なら留められんだろ。私的には神田さんが一番気がかりなんだよ。救われてくれよ、切実に。とにかく、総じて良かった。二人が本当の愛を知って怖がらずに向き合って幸せを掴みに行く姿を見れてとても嬉しい。あとそう、謝るのは簡単なことだしもしかしたら陽も多少なりとも救われるのかもしれない、でも謝るのは卑怯だなとも思う、許されようという思いもその中に入ってしまっているから。だから謝罪ではなく祝福の言葉を選んだのが良かった。現実世界ではこの話のほうがリアルなんだろう、異なる者への好奇の目、精神的未熟さ故の思慮の欠如、この中高6年という間で人は本当に成長すると思う。去年思っていたこと考えていたことも、好きだった系統も、好奇心の熱も矛先も、1年で容易く変わる。人として成長している過程なのだから当たり前。かつてお友達だった彼も、したことは許されないけど、未熟だったことは確かだけど、後悔の念に襲われていて、人として未熟だったから、もし、あのとき、って今隣に居たかもしれないその未来を少しでも思っていたと知れて、また別の意味でこのリアルさに引き込まれた。自分のかつての未熟さも同時に思い出してしまうくらいに。
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