あの日のキスをもう一度【電子単行本版/限定特典まんが付き】
ナナトなな
このレビューはネタバレを含みます▼
デコボコな2人、器用だけどどこか残念な男と行動してようやく気づく不器用な男の話だと個人的には思いました。紙は出てないっぽい…!とても良い話だったので紙の特典あるかな〜って探したけど無かった…なんでや…この話の何がダメなんだ…無茶苦茶作画良いし話も良い。高校時代に口にしないだけで無意識に両思いで、でも自覚する前に咄嗟にキスをしてしまい、言葉足らずで始まる前に終わってしまった2人。
大学に進学して、また4月に桜を見に行こうねという約束とお互いに本音も言わず心残りのまま、三保(多分受け)から連絡を絶ち、時を経てそれぞれが女性と結婚し、ライフプランが故の、相手の浮気が故にそれぞれ離婚した2人。
連絡手段がなくても、時間が経っても忘れられない互いは同窓会を切欠に、一縷の望みをかけて再会を夢見るんですが…という感じでスタートしてくんですね。
高校時代、三保は1つの言葉を切欠に両思いになることを諦めてしまったので、要所で出現する「もしかして俺…」「もしかしてコイツ…」は見事、呪いかのように三保の気持ちを遠ざけていくんですが…
たぶん、「ごめん」という言葉の意味をキチンと確認する前に傷つくって事は三保の中では「まさか有り得ない話」と予め諦めの気持ちのほうが強かったんじゃないかな…何事においても自分が予測した方向にならず納得できないと普通は「なんで?」と口についたりおもったりするのに、「ごめん」がずっと先走って2人の関係を拗らせてしまうの、あまりに消極的なんですよね、お互いに。
器用に熟してしまって中身がないと言われる弘也、掃除が苦手ってことは作る過程は楽しいけど完成したものには無頓着な面があるんじゃないかなぁ…燃え尽き症候群というか、面倒なんだよね。だから2人が「過去があったから今、しっくりくる関係」になったんだよなぁ…となりました。
多分、あそこで付き合ってたら別れてたんじゃないかなぁ…傷ついて気付かされて自分を成長させて結ばれた関係じゃないから、コアたる本音を言わない関係が続くだけである日突然、喧嘩別れでおわってたのかな。でももうこうしてればああしてればの話は2人にとって関係ないんですものね。
作中、「諦めるなよ!言葉にしろよ何、明らかに腹に一物抱えてるだろう相手の言うがままに引き下がってんだよ!言えよ本気になれよ!」って熱血指導員みたいになっちまった…これからの2人を応援します!!
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