愛だなんて言わないから
」のレビュー

愛だなんて言わないから

日暮くれ

ダメな主人公がダメなままでいるリアル

2024年2月17日
藤次のいつまでも自分と向き合えないで周りを巻き込むところは確かにイラッとしますが、それも含めてこの作品の魅力だと思います。聖人も良い人だけど、見方を変えると藤次の弱ったところに漬け込んで付き合って別れ方は独りよがりだし、八千代も何も言わずに去って独りよがり。みんな、傷つきたくなくて身勝手。でも、人ってそうやって無意識に予防線張ったり逃げたりするもの。読後感はスッキリではないけれど、そこが良いんだと思います。単純明快なストーリー、物分りのいい善人が織りなすハッピーエンドが好きな人には向かないかも。懊悩逡巡未練後悔依存。そんな話があったっていいじゃない。
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