箱の中 【講談社版】
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箱の中 【講談社版】

木原音瀬

普通の男の魅力

2024年2月20日
堂島の普通さ、ありきたりさがとても魅力的に描かれています。生まれたての子猫のように堂島に懐く喜多川も、堂島に酷いことをたくさんしでかしているのに、読んでいると「堂島、喜多川を理解してあげて!」と願ってしまいます。「普通の男、だけど情が深い」と評された堂島は弱さも狡さももっている、本当に普通の男です。でも最後の最後で自分を求める人の手を離さない人でもあります。この本には収録されていない「なつやすみ」という短編があって初めて物語が完結するので、なぜそれを収録しないのか理解できません。そのせいでいつまでも紙の本が捨てられません。ぜひ収録して、物語を完結させてほしいです。
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