秘め婿【単行本版】
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秘め婿【単行本版】

芹澤知

どこを取っても美しい、尊い歴史BL

2024年2月23日
本作は卑弥呼を題材にした創作歴史BLです。美しく写実的な絵が神秘性を高めてくれて、すんなりと作品の世界観に入っていけました。やっぱり画力って大事ですね。そして艶々の黒髪祭り✨ はぁ~ 尊い、気分が上がります!大切に想っていた幼馴染みのシキを祭りの贄にされ喪ったヤマト。以後10年 神もクニも村人も全て許せず家を出てアウトローに暮らしていたが、偶然シキと再会して女王 卑弥呼として生きている事を知る。ヤマトは性根を入れ替え体に墨を刺して一人前の男となり、男子禁制の宮中に入ってシキを守ると誓うのだ。何この怒涛の展開!何このエモい設定!劇的過ぎて美し過ぎて、どっぷり浸ってしまいます。人ならざるものとなり神の力を身に付けて巫女となったシキだが、ヤマトの出現により心を掻き乱され民の為に生きるか己の人生を生きるか葛藤する。そんなシキの重責と苦しみを共に背負おうとするもシキの考えを尊重し、ただひたすらに傍に寄り添うヤマト。はぁ… 切ない。色んな意味で。越えられない一線があるのです。…いや逆に、越えない方が萌えちゃったりするし?取り込まないヤリ方もあるし??そんなエモエロがあると嬉しかったな~なんて思ったりして😍 幾多の試練の先に見付けたものは… 愛する人と信じる心。2人ならば新しいクニを作っていけるに違いない。不死の真実、受血の儀、巫女のルーツ等とても興味深い話で作品に奥行きを与えていました。ただ 個人的にはもう少しBLに寄せても良かったのではと思います。途中 歴史漫画だった?と錯覚する場面もあり、ちょっと全体的に固いな~と感じました。丁寧な作りは良いんですけどイマイチ盛り上がりに欠けていて、エロも糖度も控え目な印象でした。その辺は小冊子が補完しているのかも知れませんが。画面満足度は高いけど、BLとしての満足度は☆1つ分下がります。あと2人が結ばれたのは喜ばしい事ですが、ちょっとモヤモヤが残ってしまう。知識や経験、統制力で神に頼らない世を作る事は出来るかも知れないけれど、病や怪我から民を救う力を失うのは別の話。既に力が弱まっていたとしても後継者が居ないまま自らその力を失う行為をするのは如何なものかと。巫女としては軽率だったんじゃないのかな?あの赤ちゃんの存在はおまけみたいなものだし、成長して力を発揮するまで時間は掛かるし。うーん、まずは女の子である事を祈ります。でも洞窟のシーンはとても美しかったです😊
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