恋する食卓
」のレビュー

恋する食卓

樋口美沙緒/末広マチ

読了しました!ハマる小説をお探しの方に!

2024年2月24日
夢中になれる小説を読みたいとずっと思っていました。とうとう見つけました!こういうのが読みたかった!

自己主張し過ぎないタイトルと美しい表紙。最初はそんな印象でした。読んで見ると…予想外のストーリーとハードな展開にぶっ飛びました。

タイトルだけ見れば軽いエッセイみたいな感覚ですが、内容は何気ない始まりとは裏腹に徐々にユキの秘密が明らかになりずっしり。秋には息もできない。あらかたこういうのがユキの抱える秘密かなぁ?と想像していたのですが、それを上回る悲しい記憶と罪悪感のような物の秘密を知った時、脳がユキの気持ちを考える事を拒否してしまった程です。これは辛い。荒らされた部屋と虚しく響く音と床に落ちたユキの…。
思い出してもそこだけは今も辛くて、これ以上の悲しみはあるのか?と思う。けど最後はハッピーエンドなので読み進めて行って下さい。
こういう小説を探していました!表紙ごとに末広マチ先生が上手に表現されていて感動します。最強タッグじゃないでしょうか?

美味しそうなユキと隼ちゃんの記憶にあるお料理も出てきます。悲しく重い中に味覚まで刺激するような美味しいお料理が、息抜きにも眩しい思い出や癒しになっています。
料理をきちんとする人はきちんと生きている人だと思うので、ユキの人生にきちんと向き合う姿勢も素敵でした。最後がお味噌汁に到達するのも素敵です。

樋口美沙緒先生の文がとても素直で読みやすいのでぐいぐいイメージが浮かび本当にそこにいるかのような気分になり、実際どこかでユキと隼ちゃんは幸せに暮らしているのだと思ってしまいます。樋口美沙緒先生の作品をもっと堪能したいと思います!本当に素敵な作品をありがとうございます!末広先生の表紙も毎回楽しみでした。
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